専門外来について

口腔腫瘍・嚢胞

口腔腫瘍・嚢胞

良性腫瘍

腫瘍とは、生体の正常細胞が、何らかの原因でその性格を変え、無目的、自律的かつ過剰に増殖するようになった状態をいいます。腫瘍は全身のあらゆる組織から発生します。腫瘍は宿主に及ぼす影響の程度により、宿主への影響が少なく、限局的に増殖するものを良性腫瘍、宿主への影響が著しく、発生局所にとどまらず広範囲に広がり、ついには宿主が死の転帰をとるものを悪性腫瘍といいます。今回は口腔外科領域で発生する主な良性腫瘍をご紹介します。

1)軟組織に発生する良性腫瘍

上皮性腫瘍:乳頭腫、多形腺腫やWarthin腫瘍などの唾液腺腫瘍である。
非上皮性腫瘍:血管腫やリンパ管腫、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫や神経原性腫瘍など。

2)顎骨に発生する良性腫瘍

歯原性腫瘍:エナメル上皮腫、角化嚢胞性歯原性腫瘍、歯牙腫、他多数。
非歯原性腫瘍:骨腫、軟骨腫、セメント質形成性線維腫、線維腫など。

臨床所見としては通常自覚症状に乏しいことが多く、歯科で口腔内を診査した際に指摘されたり、歯科治療のために撮影したレントゲンで発見されたりすることも多いようです。診断にはパノラマX線写真や、CT,MRIなどの画像検査と病変の一部または全部を切除して顕微鏡検査を行う病理検査を行います。治療としては病巣の完全な切除または摘出が行われます。腫瘍の発育が進んでいて術後に顔貌の変形や咀嚼・言語機能などに大きく影響を与える場合には審美的、機能的障害に対する治療が必要になることもあります。