要約
58歳の男性患者が、顎の転移性大腸癌の治療のため、口腔機能管理(POM)を行う目的で口腔外科を紹介された。患者は過去にステージ3Bの大腸癌に対して部分的な腸切除術を受けていた。総合的なアプローチである医療歴の聴取、身体検査、画像検査、免疫組織検査などを行い、左上顎歯肉への転移性腺癌であること、及び肺と肝臓への転移を同定した。口腔内への転移による予後は厳しいものの、緩和ケアの実施により患者のQOLが向上した。学際的なアプローチにより、患者は1年以上生存することができた。口腔病変を有する癌患者の外科的治療に、POMを早期に取り入れることが、QOLと全生存期間の最適化につながることを、本症例は強く支持している。